専門家による3者対談!不動産クラウドファンディングの変化を捉えよう!

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【タイトル】専門家による3者対談!不動産クラウドファンディングの変化を捉えよう!

【セミナー概要】
セミナー名:トレンドは変化した--不動産クラウドファンディング最新事情

開催日:2020年9月16日(水)17:00~17:40
パネリスト:
不動産テック協会代表理事 リーウェイズ株式会社代表取締役 巻口成憲(まきぐち しげのり)氏
不動産テック協会代表理事 株式会社ユニコーン 代表取締役 一村明博(いちむら あきひろ)氏
TMI総合法律事務所 パートナー弁護士 成本治男(なりもと はるお)氏

【パネリストについて】
今セミナーのパネリスト3人を簡単に説明していきます。1人目は、リーウェイズ株式会社 代表取締役 「巻口 成憲」氏です。

巻口氏は、新聞販売店から社会人キャリアをスタートさせ、その後不動産業界へと進み、現在は株式会社リーウェイズ(以下:リーウェイズ)で代表取締役を務めています。

リーウェイズでは、ビックデータと人工知能を活用した不動産価値査定サービス「Gate.」を提供しています。「Gate.」は不動産の価格ではなく、将来価値(この不動産が将来的にいくらのキャッシュを生むのか)を提供しており、現在150社以上に導入されているようです。

2人目は株式会社ユニコーン 代表取締役 「一村明博(いちむら あきひろ)」氏です。

一村氏は20年間証券会社で活躍されてきました。また大和証券では全国No.1の成績を上げたことがあるというまさに「金融のプロ」。私も証券会社勤務経験がありますが、全国No.1の成績は、とてつもないです。きっと並外れた努力をされただろうことは想像に難くありません。

3人目はTMI総合法律事務所 パートナー弁護士「成本治男(なりもと はるお)」氏です。

成本氏の専門は主に不動産・金融(ファンド・ファイナンスなど)。不動産の証券化・流動化を担当してきました。弁護士である成本氏が特に伸びていると感じているのが「不動産クラウドファンディング」で、現在様々な企業の不動産クラウドファンディングの案件に携わっています。今回は「法律」という観点から不動産クラウドファンディングに関して発言をされる場面が多かったです。

【アメリカの不動産クラウドファンディング最前線】

セミナーでは巻口氏より、まずアメリカの不動産クラウドファンディングの最前線についての紹介がありました。

最初にアメリカの不動産クラウドファンディングの市場規模ですが、2027年までに9.1兆円になる試算が出ています。単純比較はできませんが、2020年日本のクラウドファンディング市場が伸びているとはいえ、約4,600億円であることを考えると、「不動産」のクラウドファンディングだけで2027年に9.1兆円というのは、その大きさが分かるかと思います。

なお、アメリカの不動産クラウドファンディング市場規模増加の背景には、アメリカは不動産をベースとした資産形成が中心・人気であるいう点があるようです。

また巻口氏はいくつかアメリカの有名不動産クラウドファンディング企業の紹介もしていました。

まず紹介されたのが「Fundrise」という企業。「Fundrise」2010年設立の企業で、アメリカで1番有名な不動産クラウドファンディング企業だそうです。8.7%~12.4%と利回りが良く、13万人ものユーザーがいます。

続いて紹介されたのが「Fundrise」に次いで有名な不動産クラウドファンディング企業である「Realty Mogul」です。「Realty Mogul」は2012年設立で、ロサンゼルスに本社を置いています。

登録ユーザーは19万と「Fundrise」より6万人多いです。また平均リターンは4.5%~7.7%と「Fundrise」に比べて低め。

ただし、これは開発プロジェクトへは出資をせず、現時点でキャッシュを生んでいる案件にしか出資をしないためだそうです。利回りは低いですが、その分パフォーマンスが一定で人気なようですね。

その他にも、巻口氏より多様な案件・投資家を持つ、不動産クラウドファンディング企業が紹介されました。

よく「今のアメリカは10年後の日本だ」なんて言葉がありますが、日本の不動産クラウドファンディング市場もこれから伸びていき、多様なプレイヤーが参入してきそうですね。

次の【パネルディスカッション】では、3人による日本の不動産クラウドファンディングの現況とこれからについて話し合われました。

【パネルディスカッション】
セミナーの後半ではパネリスト3人による、パネルディスカッションが行われました。その中で印象に残った点を2つ紹介します。

1点目は巻口氏の「『不動産クラウドファンディングのユーザー層』について、どう捉えているか?」という問いかけに対する一村氏・成本氏双方の答えです。

一村氏は「『オンラインサービスの1つ』として利用するユーザー層が増えてきている」という仮説を述べました。

一村氏によると、ふるさと納税などの延長線で「『自分の5万円をどこに置いておこうかな』とグーグルで調べたところ、たまたまクラウドファンディングが見つかって利用してみた」という層が増えてきている、とのことでした。

私は「そんなライトな感じでクラウドファンディングに投資をするんだ!」と少し驚きました。しかし、それだけクラウドファンディング業界全体の実績とマーケティングが優秀である証拠なのかな?とも同時に考えました。

一方、成本氏も「不動産は分からないけど、上場企業が運営していて、3%~とか利回りがあるのなら、任せてみようか」という発想の人たちが増えてきている、と述べていました。

成本氏が指摘するユーザーも非常にライトな層ですね。

成本氏の話を聞いて、私は投資家の層が広がることは良いことだとは思いますが、私は1つの危惧を覚えました。

成本氏が指摘するような、「なんとなく安心そうだし投資をしてみる」ユーザー層が、もしクラウドファンディングで損をするようなことがあれば、投資に対して大きなマイナスイメージを抱いてしまいます。結果として何故損したのか、その理由も分からないまま「投資=損をするもの」というイメージがつき、これ以上投資の世界に入らなくなってしまう可能性がある、と思いました。

そのためにも不動産クラウドファンディング運営企業には、僭越ながら引き続き融資先の選定に注力してもらいたいな、と考えます。

一方で、「クラウドファンディングへの参入企業の変化」についてもディスカッションが行われました。これが印象に残った2点目です。

巻口氏が「不動産クラウドファンディング参入企業にはワンルームマンション投資へ展開したい企業もいるが、そうじゃない企業も出てきた。大手企業が出てきた背景は?」といった参入企業の変化に関する問いかけをしました。

その問いかけに対し、成本氏は「最近は上場会社やアセットマネジメント会社が入ってきている」と指摘。狙いは各社さまざまだが、「リートや私募ファンドとは違ったお客さんにリーチできる」というのが1つの目的だと考えているようです。

また成本氏は同時に・・・
「そうは言っても、マーケットが伸びない・小さかったら入ってこない」
「今は1ファンドの募集額が数千万円~数億円くらいまでだが、もう少し伸びてくるのではないかと思う。そうなると資金調達サイドとしてはより魅力的に、投資家としても意義があるマーケットになると思う」

とも述べていました。つまり「不動産クラウドファンディングはまだまだ伸び代のあるマーケットである」と多くの企業が認識しているのだということですね。

現在、クラウドファンディングの投資家からは「すぐ募集金額になってしまって投資ができない」という声が多い印象があります。

これから日本の不動産クラウドファンディングの市場拡大・募集額拡大とともに、より多くの投資家が投資ができる環境が整っていくことで、さらに市場が拡大していく・・・という好循環が生まれてくると良いですよね。

【セミナーを受けてみての感想】
今回はアメリカ不動産クラウドファンディングの現況や、不動産クラウドファンディングのユーザー層・企業などについて、最前線の状況を知ることができました。

パネリストの3人は、金融や法律など各々専門とする分野は異なるものの、私が3人の発言から共通して感じたことは「不動産クラウドファンディングは伸び代があるマーケットである」という思いです。

いち投資家としては、市場拡大・募集額拡大に伴い「すぐ募集金額になってしまって投資ができない」という投資家の不満が少しでも解消すれれば良いな、と考えています。併せて投資家は金融リテラシーの向上に努めていきたいですね。