OwnersBookで遅延発生!考えられる理由は?

公開日:

2021年3月31日に、不動産特化型クラウドファンディングサービス「OwnersBook(オーナーズブック)」で返済遅延が発生しました。

そこでこのページでは、

  • 案件と担保の詳細
  • 返済遅延が発生した理由

などを解説していきます。

 遅延が発生した案件は「大阪市中央区ホテル素地第1号第1回」

今回、返済遅延が発生した案件は「大阪市中央区ホテル素地第1号第1回」です。

  • 予定利回り(年利) 5%
  • 運用期間 19か月

会社AYに7億5,000万円を貸し付けています(借入人の詳細は非公開)。

ホテル素地(抵当権は第一順位)が担保についており、返済については担保物件を売却して行う予定でした。しかし借入人が最終期限内に物件を売却できなかったことから、OwnersBookは「最終弁済日を2021年3月31日から2022年3月31日まで1年間延長する」と発表しました。

参考:https://www.ownersbook.jp/press/detail/114

後述しますが、新型コロナウイルスの影響をかなり受けているので、OwnersBook側も担保物件売却(任意売却、競売)という手段を直ぐには取らず、延長になったのだと思われます。また、不動産取引量が一時的に停滞している状態の現在に競売にかけるより、1年延長した方が高く売却できると判断したのかもしれません。

担保は「大阪ミナミ付近のホテル素地」

この案件の担保は、大阪市中央区日本橋に所在するホテル素地です。

土地上にビル等が建っているようですが、担保評価額は土地の価格のみを評価しています。会員限定情報を確認すると、LTV(Loan to Value=不動産評価額に対する借入金の割合)は70%未満でした。物件を評価額通りに売却できるなら、OwnersBookへの返済は十分可能ですし、投資家の元本も守られます。

この担保物件の住所や外観などは非公表ですが、「ミナミ」と呼ばれる大阪市の商業中心地に近接しており、黒門市場(※)にも近いようです。

(※黒門市場はアジアを中心とした外国人に人気のスポットで、インバウンド集客の成功例としても有名。しかし新型コロナウイルスの影響により外国人観光客が途絶え、売上は激減した)

物件を売却できず、遅延が発生

この案件では物件売却益を返済原資としていましたが、期限内に物件を売却できなかったので返済遅延が発生しました。

その理由として、借入人は「新型コロナウイルス感染拡大に伴うインバウンド客の一時的な落ち込みと不動産取引量の一時的な停滞等」を挙げています。

この案件が募集されたのは2019年9月のことなので、新型コロナウイルスの流行という前代未聞の事態を予想できなかったことが、遅延発生の大きな要因だと考えられます。また、返済原資として「他の金融機関等からの借入」なども想定しておくべきだったのでしょう。

担保物件を売却できなかった理由は、物件が「ホテル素地(土地)」であることも関係していると推察されます。新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要が消滅した今、ホテルの収益性低下への懸念から、買い手が付きにくいのではと考えられます。

また、物件がインバウンド頼みのミナミ付近に位置していることも一因と考えられます。

2021年3月23日に国土交通省が公開した公示地価(2021年)によると、大阪ミナミの公示地価は28%の下落と、全国最大の下落率となりました。また全国の商業地の下落率トップ10のうち、8地点は大阪市の繁華街と、新型コロナウイルスにより大きなダメージを受けたことが分かります。

参考:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001391227.pdf

多くの店舗が休業や閉店に追い込まれ、テナントの借り手もなかなか見つからない状態になっており、土地取引も低迷しているようです。国土交通省の「企業の土地取引動向調査(2021年2月)」を見ても、大阪府の土地取引は前年(2020年2月)に比べて大きく落ち込んでいます。

参考:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000120.html

このような事情があり、期限内に物件を売却できなかったと考えられます。

今後、購入需要は回復?

返済遅延が発生し、最終弁済日を2022年3月31日まで延長するとしていますが、返済原資は物件の売却益なので、物件を売却できるかどうかは重要です。

物件が位置するミナミでは、2021年3月16日に、御堂筋沿いにアメリカ発の高級ホテル「W Osaka」がオープンしました。コロナ禍の現在は国内富裕層やビジネス客などをターゲットにしていますが、コロナ終息後にインバウンドが戻ることを見据えているのは明らかです。

このような動きが増えれば、不動産取引量は正常化していくのではと考えられます。また地価は大幅に下落しましたが「地価は底に近い」という見方もあり、今が不動産投資の狙い目とも言われているため購入需要者は今後増えていくと推察されます。

そのため、2022年3月31日までに担保物件を売却できる可能性は十分あるはず。しかし、査定通りの価格で売却できるかどうかは分からない状態ですね…。

なお、この案件には借入人のグループ会社による連帯保証が付いているので、グループ会社が存続している限り元本は保証されます。

まとめ

OwnersBookで返済遅延が発生した案件「大阪市中央区ホテル素地第1号第1回」。OwnersBookは、最終弁済日を2022年3月31日まで1年延長すると発表しました。

遅延が発生した理由として考えられるのは、主に以下の5点です。

  • 新型コロナウイルスの流行を予想できなかったこと
  • 返済原資を「担保物件の売却益」としていたこと
  • 担保物件がインバウンド頼みの大阪ミナミ付近に位置すること
  • ミナミ付近では新型コロナウイルスの影響で地価が大幅に下落していること
  • 新型コロナウイルスの影響で土地取引も低迷していること

コロナ禍でインバウンド需要が消滅し、大阪ミナミの公示地価は大幅に下落しました。しかし、2021年3月には御堂筋沿いに高級ホテルがオープンするなど、コロナ終息後を見据えた動きも出てきています。また地価が大幅に下落した今が不動産の買い時だとする見方もあり、購入需要者は今後増えていくのではと推察されます。

そのため、2022年3月31日までに物件を売却できる可能性は十分あると考えられます。

OwnersBookの今後の対応についても注視していきたいですね。

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