2020年10月に投資家登録を始めた不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」。「誰でも・簡単に大家になろう」という基本コンセプトの下、1口1万円から投資をすることができます。
今回はそんな「大家.com」を運営している株式会社グローベルス代表取締役社長 藤田 賢一氏に話を伺いました。
「STOスキーム」や「日本保証による買取保証」など独自のスキームを提供している大家.comの魅力が詰まっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
株式会社グローベルスについて
平成8年設立の株式会社グローベルスは、ソリューション事業や商業施設事業、戸建事業、マンション分譲事業を展開しています。また、親会社には東京証券取引所市場第二部上場の株式会社プロスペクトを持ちます。「大家.com」が含まれるソリューション事業では、クラウドファンディングの他、不動産コンサルティング(不動産M&Aや購入サポートなど)やCRE戦略ソリューション(企業が保有する不動産をより効率よく活用すること)を提供中です。
不動産投資型クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違い
大家.comは「不動産投資型クラウドファンディング」です。この不動産投資型クラウドファンディングとよく混同しがちなのが「ソーシャルレンディング」です。2つの大きな違いは以下のとおりです
- 管轄する行政庁の違い
- 利益の源泉が「返済金」か「家賃収入や売却金」か
- 運営業者を通じて事業者が借りるのか、運営業者が事業者を兼ねるのか
「管轄する行政庁の違い」ですが・・・
不動産投資型クラウドファンディング:国土交通省もしくは各都道府県
ソーシャルレンディング:金融庁等
という違いがあります。
不動産投資型クラウドファンディングは、「不動産特定共同事業法」に則り運営されています。投資家から集めた資金で、会社自らが物件を購入し、その運用益である「家賃収入や売却金」を投資家へ分配するという仕組みです。
一方、ソーシャルレンディングの場合は、金融商品取引法・貸金業法が適用され、お金が必要とする借り手へ、投資家から集めたお金を貸付けます。借り手は融資された資金に利子をつけ、事業者へ返済し、投資家はその「返済金」から分配金を得る仕組みです。
不動産投資型クラウドファンディングは、ソーシャルレンディングに比べ、「基本的に投資先案件が公開されている」というメリットがあるため、投資判断がしやすいという面があります。
”実績がないなか投資家保護を図るには”という観点で「買取保証付」案件の提供をしております。
不動産投資型クラウドファンディング事業に進出した経緯は何でしょうか?
当社は2020年8月まで、エンタメ事業をメインに事業展開をしている株式会社KeyHolderの子会社でした。そこでエンタメ事業との相乗効果が得られやすいのではないかと考え、クラウドファンディング事業進出のため、不特法の許可を取得したという経緯があります。「不動産×エンタメ×IT」という掛け合わせを模索していたんですね。
2020年9月より、親会社が変わられたんですね。
はい。2020年9月に分譲マンション事業をメインに展開している株式会社プロスペクトに親会社が変わりました。そのため、「不動産×IT」という形にはなりました。現状は、クラウドファンディングの特徴である少額投資を通して、より不動産投資を身近に感じて頂きたいという思いが強いですね。
少額から投資ができるのはクラウドファンディングの大きな魅力ですよね。
そうですね。あとは、後々の魅力にしたいという話ですが、現在匿名組合型の免許を持っているのですが、匿名組合型のクラウドファンディングは残念ながら節税効果がほとんどないんですね。そこで節税効果のある任意組合型の追加許可をとって、「税金対策」のご提案もしていきたいと考えています。
「大家.com」の特徴についてお伺いさせてください。
1号案件に関していうと、「日本保証の買取保証がついてる」「親会社(プロスペクト)の株主になると投資案件の配当利回りに投資金額の+1%がつく」「STO(セキュリティトークン)スキームを採用している」の3点ですね。
「日本保証の買取保証がついてる」について詳しくお聞かせください。
「日本保証の買取保証」とは、対象不動産を株式会社日本保証が決められた価格で買取を保証しているということです。例えば、1号案件は投資家から2億円を募集しましたが、買取保証も6億円がついています。そのため、不動産市況の影響で1号案件を希望の価格で売れない可能性もあるのですが、買取保証で2億円の契約を結んでいるため、最悪でも6億円では売れるということになります。
買取保証は投資家としては安心感を持てますね。
そうですね。「日本保証の買取保証をつける」のも、そもそも当社がクラウドファンディングの実績がない中で、”どう投資家保護をするか”という観点でつけさせて頂きました。
「STO(セキュリティトークン)スキームを採用している」についてもお聞かせください。
STOスキームは、大家.comへ投資した出資分を投資家同士で売買できる仕組みです。資金がロックされがちなクラウドファンディングですが、大家.comではSTOスキームの採用により、「一度投資した後でも、買いたい人がいれば売れる」ようにし、流動性リスクを軽減しています。なお、STOスキームを利用するには「大家.comで投資家登録をしている」「対象案件の成立前書面を確認している」という2点が必要です。
プロスペクトの株主になると配当利回りが上がる点について、株主名簿に記載されていれて、適用されるという認識でよろしいのでしょうか。
はい、そうです。1株でも株を持って頂き、2020年9月末・2021年3月末時点での株主名簿記載者+大家.com出資者であれば、適用されます。
投資して頂いた投資家様には大変感謝しております。
不動産投資型クラウドファンディングを運営されてから、約3ヶ月ですが手応えやご反響はいかがですか?
始めに1号案件に関しては12月14日から8日間募集させて頂きましたが、当社の実績がないなか、投資して頂いた投資家様には大変感謝しております。ご反響に関してはクラウドファンディングの需要の強さを感じました。我々不動産業界は、基本相対での取引です。一方、クラウドファンディングは基本インターネット上だけのやりとりで「これほど投資頂けるなんて」と驚くと同時に感謝しております。
従来の現物不動産投資に比べて、クラウドファンディングは投資へのハードルが下がりますよね。
そうですね。ただ、投資ですので、元本保証をしているものではありません。投資のハードルが下がる分、きちんとした情報を提供して投資判断を誤らないように、当社は現物不動産を売るつもりで、詳細な情報を開示するよう努めています。
元本割れや配当遅延リスクを抑える取り組みについて教えてください。
買取保証付きの物件ばかりを提供できるわけではありませんが、ひとつに「日本保証の買取保証」が挙げられます。その他では例えば「優先劣後構造」を採用しています。リスクが高いと想定される案件に関しては、当社の出資比率を高め、元本毀損リスクを抑えられたらと考えています。様々な要因で想定通りに進まない事も起こってくるかと思いますが、今まで養ってきた不動産の目利き力やノウハウを活かした運用・出口戦略を行おうと考えております
※優先劣後構造:事業者も対象不動産に一緒に出資する仕組み。投資家よりも先に事業者が損失を一定額負担するため、投資家は損失リスクを低減できる。
クラウドファンディング事業は水平展開すべきビジネスモデルだと考えています。
今後どのようなファンドを取り扱う予定でしょうか?
オフィスビルの他、一般の投資家の方からはハードルが高いものの、収益性の高いレジャーホテルも取り扱っていきたいです。その他には、保育園や介護老人ホームなど現状他の事業者でも取り扱いの少ない物件も取り扱っていきたいです。投資家には様々な案件に投資して頂き、「不動産投資ってこうなんだ」と実感頂きたいですね。ただ投資にはリスクがありますので、当社としては、月に1回ペースで定期的に運用状況の報告をするなど投資家への情報提供にも力を入れていきます。
募集件数はどれくらいのペースを目指しますか?
最低月2件以上を提供していきたいです。
2021年の具体的な数値目標や展望をこちらあればお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?
2021年には運用期間が3年間くらいの案件を出していきたいですね。クラウドファンディング業界は、運用期間が短い方が募集は集まりやすいと言われています。ただ、投資家としても同じ資料・情報を読み込んで手続きするのであれば、運用期間は長い方が、同じ利回りでも受け取れる金額が多くなるので、メリットがあると考えております。ただ、無理をした案件を提供し、投資家の皆様へ迷惑をかけることがない商品設計に努めていきます。
中期(3年)・長期(10年以上)という期間で今の時点の展望があれば教えてください。
まずは運用残高70億円を目指していきたいです。また、当社はクラウドファンディング事業は水平展開すべきビジネスモデルだと考えています。例えば、現在は事業者毎に各々のサイトでファンドを募集していますが、「楽天やAmazonのような入り口をひとつ作り、そこから投資家が各事業者の案件を比較検討し、投資をする」という取り組みもできるのではないでしょうか。
また、口座開設についても、現在は各社それぞれに本人確認や個人情報を入力して、口座開設をする必要があります。しかし、投資家からするとこれって非効率なんじゃないかと思うんです。法律も絡んでくるので、すぐにはできませんが、投資家の同意の上、ひとつの事業者で口座開設すれば、他の事業者でも口座開設完了しているような仕組みも投資のハードルを下げることに寄与するのではないでしょうか。
最後に、投資家へのメッセージをお願いします。
あくまで投資商品ですので、きちんと内容を確認頂き、投資を楽しんで頂けたらと思います。当社としては色々な事業者がある中で、これからさまざまな収益不動産に取り組もうとしている「大家.com」を知って頂き、選んで頂けると嬉しいです。
また、これからは年金問題や、ここにきて国民皆保険の問題もピックアップされてきたように、恐らく投資をしていかないといけない時代になってくるでしょう。そのなかで少額投資の不動産投資型クラウドファンディングは投資しやすい商品かと思います。今まで飲み代に使っていた1万円を大家.comで運用するなど、投資の敷居を低く見て頂いて、投資を行って頂ければ幸いです。
取材を終えて
今回印象に残ったのが、「このビジネスモデルは水平展開していくべき」という趣旨の言葉。藤田氏が仰るように、水平展開をして、どこか一つのクラウドファンディング事業者で口座開設をすれば、他の事業者でも口座開設したことになれば、ぐっと投資のハードルが下がりそうです。そのような未来が実現するまでは、STOスキームや日本保証の買取保証がつくなど特徴的な仕組みの採用実績がある「大家.com」で、資産運用をしてみてはいかがでしょうか。