ソーシャルレンディング業界の問題最大手maneoが受けた行政処分とは

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ソーシャルレンディング投資を検討している方に、必ず知っていただきたいリスクがあります。

それは、かつて日本のソーシャルレンディング会社の中でも最大手といわれた「maneo」が金融庁から行政処分を受け、多くの投資家が損失を被った事実です。

そこで、ここではなぜmaneoが行政処分を受けたのか、また行政処分を受けた結果、投資家にどういった損失が発生したのかを見ていきましょう。
また同時に2020年時点のソーシャルレンディング業界についてもお伝えします。

1.maneoとは

maneoは、2008年に日本で最初にソーシャルレンディング投資サービスを始めたサイトです。

運営元の正式名称はmaneoマーケット株式会社と言います。
会社は今でも存続していますが、2020年時点では募集を行っていません。
その累計募集実績は約1700億円。

この数字は、2020年時点で最多の募集実績を誇るSBIソーシャルレンディングの約1,400億円を超える数字です。
今でも、日本のソーシャルレンディング会社で最大の会社であることには変わりありません。

ではなぜmaneoはソーシャルレンディングの募集を2019年からストップしているのでしょうか。

2.maneoが受けた行政処分の内容

maneoが募集を停止したのは金融庁から2018年7月に行政処分を受けたことが直接的な理由です。
まず、その内容を引用して見ていきましょう。

2-1.虚偽の内容を投資家へ提示し、募集を行っていた。

(1)ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をした行為

maneoマーケット社は株式会社グリーンインフラレンディング(以下、グリーンインフラレンディング社)を営業者としてファンドの取得勧誘を行い、太陽光発電所やバイオマス発電所などの再生可能エネルギー事業の開発資金などにファンド資金を支出する旨を表示している。
maneoマーケット社は株式会社グリーンインフラレンディング(以下、グリーンインフラレンディング社)を営業者としてファンドの取得勧誘を行い、太陽光発電所やバイオマス発電所などの再生可能エネルギー事業の開発資金などにファンド資金を支出する旨を表示している。

グリーンインフラレンディングを運営するグリーンインフラレンディング社は、投資家から集めた資金を親会社である甲社の関係会社を経由して甲社に貸し付けており、その資金を元に甲社は各種事業に投融資を行なっていた。

しかしながら、甲社はファンドからグリーンインフラレンディング社を経由して貸し付けられた資金及び自己の固有事業に係る資金について、ほぼ全ての資金を1つの口座で入出金している状態となっていた。

証券取引等監視委員会は今回の検査において、甲社はグリーンインフラレンディング社から入金されたファンド資金をWebサイト上で表示した出資対象事業に支出しているかを検証したところ、出資対象事業と異なる事業等へ支出している事例が多数認められたとしている。

このファンド取得勧誘が行われていた間、maneoマーケット社は、Webサイト上で表示しているファンド資金の使途と実際の資金使途が同一となっているかについて確認せず、事実と異なる表示のまま、取得勧誘を継続していた。

上記について証券取引等監視委員会は、ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をした行為を行なったとしている。

(2)maneoマーケット社の管理上の問題点

maneoマーケット社が(1)の状況を見過ごしていた原因について、法令上、虚偽表示等の禁止行為が規定されているにもかかわらず、ファンド資金の使途などの確認を甲社の関係会社に一任し、甲社の資金管理の実態や資金使途を把握する管理態勢を構築していなかったためとしている。

出典:金融庁財務局
URL:http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000761.html

2-2.自社のシステムを利用しているソーシャルレンディング会社の案件監視を怠っていた

maneoは、ソーシャルレンディングのプラットフォームビジネスを展開していました。
ソーシャルレンディングを運営するためには、第一種か第二種の金融商品取引業登録が必要です。

しかし、この第二種金融商品取引業登録を行うためには金融庁の厳しい審査を受けなければいけません。
ソーシャルレンディングに興味はあるものの、登録が認可されず始められない会社が多数ありました。

そこで、maneoは自社のライセンスとプラットフォームをシステム化し、ソーシャルレンディングに興味のあるさまざまな会社に貸し出していました。

maneoに案件募集を委託し、投資プラットフォームをレンタル利用することで、第二種金融商品取引業登録を行っていない会社もソーシャルレンディング案件の募集を行うことができたのです。

しかし、maneoのプラットフォームを利用していた会社では、投資家に対し虚偽内容での募集などを行い、数々の返済遅延などの問題を発生させました。

そこで、maneoもシステムを貸し出している会社としての監督責任を問われ、金融庁財務局から自社のシステムを利用している会社の案件に対して関心が不十分であったとの指摘を受けたのです。

3.maneoのシステムを利用し問題を起こしたソーシャルレンディング会社

maneoのシステムを利用していたソーシャルレンディング会社は、最大で12社にものぼりました。

その中でも、特に大きな問題起こした会社をピックアップします。

3-1.グリーンインフラレンディング

太陽光発電所など、自然由来エネルギー案件などを募集していたのがグリーンインフラレンディングです。
利回り12%など非常に高い案件を募集することで、投資家から150億円以上のお金を集めていました。
しかし、2018年7月にmaneoと同時に行政処分を受け、案件募集や投資家への配当、返済が一気に停止。
貸し倒れには至っていないものの、2年経っても投資家への返済は行われず、多くの投資家がお金が返されない状態が続いています。

3-2.クラウドリース

クラウドリースは、店舗運営資金案件を募集していたソーシャルレンディング会社です。
こちらも利回り10%など高い利回りを提供することで投資家から人気を集め100億円以上を集めることに成功していました。
しかし2019年1月に突然案件募集と配当を停止。

複数の会社への融資を行っていたはずなのに、一気に全案件で運営がストップしたのです。この不可解な事態により、クラウドリースも投資家から訴訟を受けています。

3-3.ガイアファンディング

ガイアファンディングは、アメリカ不動産案件を中心に募集を行っていた会社です。

ガイアファンディングとmaneoの間で案件の返済や組成に関するトラブルが発生し、連携が取れなくなり交渉が決し。その後は配当や返済が行われなくなっています。

3-4.キャシュフローファイナンス

キャッシュフローファイナンスも、店舗ビジネス関係の運用案件を募集していた会社です。
こちらは大半の案件で返済遅延が発生しましたが、全ての案件で返済遅延となったわけではありません。
そのためキャッシュフローファイナンスは、投資家から訴訟を受けてはいません。

4.行政処分後のmaneo

では行政処分後のmaneoはどうなってでしょうか。

4-1.返済遅延が多数発生

2018年7月に行政処分を受け、maneoは同年11月にも再度金融庁財務局から指導を受けるに至っています。
maneo自体は、その後も案件募集と投資家への返済などを続けていました。
しかし、全案件ではないものの、徐々に返済遅延が多数発生。
2019年7月からは一件も案件の募集行っていません。
全ての案件で返済遅延が発生しているわけではありませんが、高頻度で返済遅延が発生しています。

4-2.投資家から訴訟を受ける

maneoは投資家から訴訟を受けています。
その理由としては行政処分の理由あったように、投資家に対して事実と異なる内容で案件を募集を行っており、詐欺とみなされているからです。
その訴訟はまだ結果が出ていませんが、結果が出た際には大きく公開されることになるでしょう。

4-3.社長交代

2018年時点では、maneoの代表は二代目社長である瀧本憲治氏が運営していました。
しかし瀧本氏は数々の不祥事の責任を取って2019年3月に退任。その後は3代目の社長である足立義夫氏が就任しています。
NLHD株式会社への株式譲渡後には、債権回収会社の代表経験がある佐藤友彦氏が社長に就任しています。

4-4.株式譲渡

maneoは2009年9月にJトラストグループ参加企業、NLHD株式会社に株式譲渡を行い、Jトラストグループの事実上の子会社になりました。

実際にJトラストグループの代表である藤澤信義氏が、maneoの取締役に就任しています。
maneoの返済遅延ある件に関しては、Jトラストのグループ会社である株式会社パルティールが債権回収を行うとしていますが、投資家に対してまた大規模な返済が行われたという事実は公表されていません。
maneoが抱えている問題は、2020年7月時点でもまだ解消されていないのです。

5.ソーシャルレンディング業界の問題点とは

maneoを代表とするように、ソーシャルレンディング業界には数多くの問題が有りました。なぜこれだけの問題が起きたのかを確認しましょう。

5-1.融資先の公開禁止を悪用していた

ソーシャルレンディングは、金融庁財務局の指導で融資先の事業者の社名公開を禁止していました。
それは融資先の名前を公開していると、投資家個人が融資先の会社に直接取り立てを行おうとするからです。個人による資金回収は、貸金業法に違反するとみなされていたのです。
しかし、その指導自体をソーシャルレンディング会社が悪用していました。

複数の会社に融資しているように見せかけて、親会社にのみ融資していた会社などがあり、融資リスクの分散行っていないという事実が発覚しました。

ソーシャルレンディング会社が自社に都合のいい資金の流れを作ることで利益を生み出し、投資家はその結果不利益を被ることになったのです。

5-2.担保価値の算出が適当であった

また多くのソーシャルレンディング案件は、担保として不動産が設定していました。

返済遅延や貸し倒れが起きた時には、担保不動産を売却することで投資家に資金を返済するとしていたのです。
投資家は担保があるため安心だろうと判断し、投資しました。

しかし問題のある会社が担保不動産を売却して投資家にお金を返済した案件は、非常に少ないです。
中にはまるで詐欺のように、最初から担保不動産が存在していない案件や、投資家に「1億円の価値がある」とアピールしながら、実際の金銭価値が3千万程度しかないという案件がありました。

5-3.投資家保護の取り組みを行っていなかった

そして、問題のあった会社に共通することが、全般的に投資家の資産保全のための取り組みを行っていなかったことです。

投資家から集めたお金を他の案件の返済に回したり、社長の個人的な借金返済に利用していたソーシャルレンディング会社もありました。

融資先からの返済遅延発生時に、投資家に対してどのように資金の返済を行うのか提示しておきながら、実際に返済遅延が発生すると示していたような対応をせずに、「交渉中」とだけ伝えているのです。
投資家は、返済遅延発覚から1年も2年も返済されるのを待っている事態がいまだに続いているのです。

こういった状況が2018年から19年にかけて多数発生したことで、金融庁財務局もソーシャルレンディングの危険性を訴えるホームページを作るほどでした。

6.2020年時点のソーシャルレンディング業界の改善点

2018年から19年にかけて、多数のソーシャルレンディング会社が問題起こしました。

その後2020年時点では、ソーシャルレンディング業界はどのように変わったのでしょうか。
問題は解決したのでしょうか。

6-1.融資先の公開が行われるようになった

2019年3月の金融庁の財務局の指導により、ソーシャルレンディング案件における融資先の企業名の開示が可能になりました。

それにより投資家への情報開示が一気に進み、特定の会社への集中融資を行っていたソーシャルレンディング会社や、親会社へのみ融資を行っていたソーシャルレンディング会社などの危険性が投資家も把握しやすくなったのです。

ただしあくまでも、「公開の許可」の指導であり、融資先の公開が義務になったわけではありません。
現在も融資先の企業名が非公開の案件は多々あります。

6-2.上場企業など返済が行われる見込みの高い企業への融資が増えた

同時にリスク管理の一環と増えてきたのが、信用性の高い企業への融資案件です。

例えばFundsというソーシャルレンディングサイトは上場企業や有力なベンチャー企業への融資を専門としており、倒産リスクや返済リスクのある中小企業への融資を行っておりません。

クラウドバンクでも上場企業向けのファンドを増加し、投資家から資金を集めることに成功しています。
上場企業が返済遅延を発生させると、会社の資金繰りに難があることが世間に公表されてしまいます。そうなると会社経営のリスクに発展しかねないため、上場企業は返済遅延を起こしにくいのです。

もちろん会社の資本力が優れているという面もあります。
そのため投資家にとっては未返済のリスクを下げることができます。

6-3.利回りよりも保全性の確保に取り組むソーシャルレンディング会社が増えた

また数々の問題を起こしていたソーシャルレンディングサイトの案件は、利回りが8~12%など高いものが目立っていました。

しかし2020年8月現在では、利回り10%を超えるような高い利回りの案件を募集するソーシャルレンディングサイトはほとんどありません。

平均的には年間で5~6%といったところでしょう。
各社とも高い利回りを設定して投資家を呼び込もうとするよりも、投資家の資産の損失を守ることを考えた、資産の保全性が高い案件を提供することにシフトしたと言えます。

投資家にも利回りの高い案件=リスクが高い案件という意識が強く根付いてきたと言えます。

7.まとめ

ソーシャルレンディング業界の大手、maneoは数々の問題を起こしました。

その結果2018年から19年にかけ、多数の投資家が損失を被りその問題はまだ解決していません。

一方で金融庁財務局の融資先企業名公開という指導により、投資家もソーシャルレンディング会社側も、利回りよりも資産の保全性を確保する方向性にシフトしています。

現に2019年以降、返済遅延や貸倒れといった投資家が損失を負う案件は、ほぼ発生していません。
ソーシャルレンディング業界は、コロナショックの影響もほとんど受けていない業界です。

今からソーシャルレンディング投資を始めるのであれば、リターンを追求するだけではなく、リスクについてもよく理解しましょう。
そして、十分なリスク対策を行っている案件から投資先を選んでみてはいかがでしょうか。

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