2016年10月に創業されたFUEL株式会社は「FUELオンラインファンド」と「CRE Funding」を運営しています。
2020年2月にスタートした「CRE Funding」は、長年物流不動産の分野で実績を積んできたCREグループの案件に投資ができるオンラインファンドです。「倉庫に投資をする」という選択肢を一般の投資家に提供している、ユニークかつ魅力的なオンラインファンドとなっています。2021年1月末に2.55億円のファンドを募集しましたが、わずか15分程度で完売するなど、投資家から大きな注目を浴びています。
一方で、2020年12月にサービスを開始した「FUELオンラインファンド」は、複数の事業者による多種多様な商品ラインナップが魅力のクラウドファンディングのプラットフォームです。これまでに底地や海外不動産に投資する5本のファンド募集を実施しいずれも即完売しています。
今回はそんな2つのサービスを運営しているFUEL株式会社の代表取締役 細澤聡希氏にインタビューを行いました。
FUEL株式会社 代表取締役 細澤聡希氏
早稲田大学理工学部建築学科卒業
米国公認会計士として国際会計事務所でキャリアスタートし、ドイツ証券投資銀行本部では、IT、金融、不動産業界を7年担当し、資金調達やM&A等のコーポレート・ファイナンス業務に従事。その後、従業員200名から2,000名へと急成長するベンチャーのCFOを担う。2016年10月にFUEL株式会社創業。
資格等:米国公認会計士、米国コロンビア大学EX-MBA
目次
金融と投資をオンライン上でうまく繋げていくことで、次の世代のプラットフォームを作れるタイミングではないかと思った。
クラウドファンディング業界に進出した経緯を教えてください。
企業側と投資家側、両方の視点からクラウドファンディング業界に進出しました。
企業側の視点でいうと、主に株式等の直接金融によって資金調達できる上場企業は全体の10%程度と言われています。また、非上場企業は直接金融によって資金調達を行うことはほぼできません。このように直接金融が十分に活用されていない状況を「インターネットという力を通じて、広く一般化することでもっと活用することができるのではないか」と着想したことがそもそもキッカケです。
投資家側の視点でクラウドファンディング業界に進出した理由は何でしょうか。
投資家側の視点で見ても、現在は団塊世代が中心に持っている900兆円~1,000兆円のタンス預金が30代~50代の世代に移ってくるタイミングかと思います。
一方、少子高齢化により、将来年金が貰えないのではないかなど将来に対する不安を持つ人も少なくないでしょう。こうした日本の現状で、私たちは引き継いだ資産を自分たちで育てて、さらに次の世代に繋げていく責務があるのではないかと考えます。そして、ITリテラシーや投資リテラシーが育ってきているこの世代が資産を受け取ることで、いよいよ投資というものがインターネットと結びつく、そんな変革のタイミングに来ているのではないかと考えています。
このような考えの下、金融と投資をオンライン上でうまく繋げていくことで、次の世代のプラットフォームを作れるタイミングではないかと思い、またその可能性を信じて、クラウドファンディング業界に進出しました。
クラウドファンディングは株式投資にはない魅力がありますよね。
そうですね。株式投資の場合、マクロ動向による株価変動に加えて、会社全体への投資になるため会社全体の業績に株価が左右されます。そのため、企業がアピールする成長性や収益性の高いプロジェクト・事業のみへの直接投資はできません。また、日々の株価の上下動に一喜一憂してしまい、「面白いサービスやプロダクトを発表した企業を長期的に応援していたのに、株価変動が激しく途中で売ってしまい大きく損してしまった」という体験をされている方も多いのではないでしょうか。一方で、企業側も資金を本当に必要とする事業・プロジェクトへの資金調達が、マクロ動向や会社全体の業績により完全に実現できていない現状があります。
そうした株式投資のリスク・デメリットを取り除くことができるわけではないですが、プロジェクト・事業単位で投資ができるクラウドファンディングは、投資家・企業双方のニーズやタイミングを捉えた投資商品を提供でき、投資の幅を広げられるのではないかと思っています。
「FUELオンラインファンド」ではさまざまな事業者さんのファンドを募集しています。
「FUELオンラインファンド」はどのようなサービスなのでしょうか?
「FUELオンラインファンド」はモール型サイトで、さまざまな事業者のファンドをFUELオンラインファンド上で募集をしています。「クラウドファンディングのプラットフォーム」とも言えますね。投資家はFUELオンラインファンドに訪問すると、さまざまなファンドに投資ができます。
「FUELオンラインファンド」の強みは何でしょうか。
以下、4点あります。
- ファンド組成事業者を上場企業や監査を受けている非上場企業グループに限定している
- 第二種金融商品取引業者として、第三者である当社がファンドを厳格に審査している
- 不動産や金融のプロフェッショナルが審査している
- さまざまな案件に分散投資ができる
どれも「FUELオンラインファンド」ならではの強みかと思います。
「FUELオンラインファンド」では上場企業もしく監査を受けている非上場企業グループのみの案件を取り扱っているのですね。
そうです。FUELオンラインファンドはクラウドファンディングのプラットフォームになるので、「どういう案件を投資家さんにご紹介できるのか」が肝かと思います。その点、当社としては上場企業や監査を受けている非上場企業グループに絞って、投資家さんに安心感を持って投資をしてもらいたいと考えています。
さまざまな案件に投資ができる点が「FUELオンラインファンド」の魅力の1つですね。
ありがとうございます。物流や海外不動産、底地など、これまでさまざまな商品をリリースしてきました。そして、今後も新規事業者の参画が予定され、不動産タイプも増えていく予定です。そういった多種多様な商品を一つのアカウントで購入・管理できるのは「FUELオンラインファンド」の大きな強みかと思っています。
なお、「FUELオンラインファンド」もしくは「CRE Funding」どちらか一つにアカウントを作って頂ければ、そのアカウントで両サービスの全ての案件に投資ができるようになっています。
CREグループの幅広い実績が大きな強み
FUEL株式会社が手掛けるもう一つのサービス「CRE Funding」の内容も教えて頂けますでしょうか。
「CRE Funding」は、物流不動産分野に特化しているCREグループさんが組成した物流不動産の案件のみを取り扱っているクラウドファンディングサイトです。投資家はCRE Fundingで物流不動産の案件に投資ができます。当社はCREグループが組成した案件の審査やモニタリング、投資家へのマーケティング、サイト運営を担当しています。
「CRE Funding」の強みを教えて頂けますでしょうか。
まず、CREグループさんの物流不動産分野での圧倒的な実績が挙げられます。不動産の開発・管理の実績に加えて、私募ファンドや上場REITも運営されていることから、投資家から資金を預かりファンドを運営する際のガバナンスもまた豊富な実績を有しています。
あとは、物流不動産自体の成長性も強みです。コロナ禍でもネットショッピング需要は旺盛であり、またEC市場は今後も持続的な成長が期待できることから、物流不動産は高い稼働率を誇っています。
不動産や金融、ファンドなどのバックグラウンドを持つメンバーが審査を担当しています。
審査プロセスについて教えて頂けますでしょうか。
審査は1次~5次まであります。
1次・2次審査の対象はファンド事業者です。1次審査では最低限審査の土台に乗るかどうかのチェックということで、10項目程度を審査します。次に2次審査では財務の安定性や成長性などトータル60項目以上を総合的に審査します。
続いて、3次・4次審査の対象はファンドの貸付先やファンド全体です。3次・4次審査の内容は1次・2次審査の内容に加えて、ファンドの事業計画や不動産の案件の場合は最終的にどのような形で資金が返済されるのか、不動産マーケットや物件評価なども併せてチェックしています。
1~4次審査を経て、全てクリアしたら最終の5次審査に移ります。
5次審査の内容を教えて頂けますでしょうか。
審査委員会を開き、討議を行います。審査委員会に参加する委員は、取締役全員と外部の専門家の税理士さんで、全員が拒否権を持っています。一人でも「この案件は止めよう」と拒否したら、取り扱いません。こうして5次審査まで全て通ったもののみを投資家にご案内するようにしています。
審査はどのようなメンバーが行っているのでしょうか。
基本的には取締役と外部の税理士さんで行っています。取締役には社外取締役も含まれています。取締役は、不動産や金融、ファンドなどのバックグラウンドを持つメンバーが審査を担当しています。なかなか他社さんでも実現が難しい経歴・実力を持ったメンバーが揃っているのではないかと自負しています。
モニタリングの内容についても教えて頂けますでしょうか。
当社は不動産案件がメインですので、定期的にファンド事業者さんから、不動産の状況や経理面の報告を受け、当社でモニタリングをしています。モニタリングの内容としては、物件のテナントに動きがないか、物件自体に問題が起こっていないか、ファンドの数字がちゃんと回っているか、などをチェックしています。
倉庫に投資をするという発想があった個人投資家はほとんどいらっしゃらなかったのではないでしょうか。
今後取り扱っていきたい案件などあればお教えて頂けますでしょうか。
窓口を限定せず、さまざまなプロジェクト・事業者の案件を取り扱っていきたいと考えています。これまで「FUELオンラインファンド」では「底地」や「海外不動産」という少しユニークな案件を出すことができました。海外不動産というエッジの効いた案件も非常に人気でした。
CRE Fundingで提供している物流不動産に特化したクラウドファンディングサイトは、恐らく日本初でしょう。引き続きリスクをしっかり意識し、安定性を重視した案件を出していきたいと思っています。また、社会貢献に繋がるような案件も出していきたいとも考えています。
物流不動産の案件は「CRE Funding」ならではの案件ですよね。
恐らくCRE Fundingで取り扱われるまでは、物流不動産に投資するという発想があった個人投資家はほとんどいらっしゃらなかったのではないでしょうか。実は会員登録をして頂かなくても、CRE Fundingサイト上では会員さんとほとんど同じ情報を見ることができますので、是非お目通し頂ければと思います。
また、投資頂いた方にはCREグループが作成した物流不動産のマーケット情報を提供していますので、より物流不動産への理解を深められるかと思っています。こうした今までにない案件をお届けするのも私たちの大事な役割だと思っているので、常に意識しながら動いているつもりです。
1,000億円の流通市場を早くつくっていきたいと考えています。
「CRE Funding」がリリースされて、1周年を迎えました。投資家さん向けに記念キャンペーンなどはされる予定でしょうか?
はい。CRE Fundingにて案件募集する10号ファンドをご購入頂いた方に0.5%の、新規でご購入頂いた方には1%のキャッシュバックキャンペーンを行います。
新規投資家への1.0%のキャッシュバックは嬉しいですね。今後もこのようなキャンペーンを実施する予定なのでしょうか。
はい、キャンペーンは今後もやっていきたいと思いますので、是非楽しみにしてください。
クラウドファンディング業界の展望や予測がありましたら、お聞かせ頂けますでしょうか。
今、クラウドファンディング業界全体の市場規模は2,000億円程度です。市場規模でいうと、今の10倍以上の2兆円程度は見込んでいますし、それくらい増やさなきゃという使命感もあります。
市場の中身も以前より大分変わってきているのを感じます。昨今は当社を通じてもそうですが、上場企業の参入が相次いでいます。上場企業の資金調達の一つの選択肢としてより一般化していく流れは今後も続いていくと考えており、市場規模はさらに拡大していくのではないでしょうか。
中長期的な展望などあれば教えて頂けますでしょうか。
中長期的には1,000億円の流通市場を早くつくっていきたいと考えています。事業者さんがより使いやすい市場にするにはそれくらいの規模を僕らがつくらないといけないと思っています。
最後に投資家の皆さまへ、メッセージをお願いします。
投資家さんへ新たな案件をお届けするべく、続々と提携も決まっていますし、各社が取り扱う不動産タイプも多種多様なため、FUELオンラインファンド全体でご提供できるファンドも多岐に渡ることが想定されます。また、投資家さんの目線で、より分かりやすく使い勝手の良いプラットフォームにアップデートしていく予定です。これからも「FUELの会員になると良いね」と言われるようなサービスをお届けしたいと思っていますので、是非今後のFUELを楽しみにしてください。
編集後記
インタビューを通して自社の商品に対する愛着・自信、そしてこれから投資家へより良いサービスを提供し、クラウドファンディング業界を発展させていくという使命感も伺い知ることができました。
個人的には、FUELオンラインファンドは上場企業の案件を中心に取り扱っている点が、非常に安心感を持って投資ができるポイントなのではないかと感じています。また、CRE Fundingが投資対象としている倉庫についても、EC市場の発展とともに成長が期待できそうです。
10号案件ではCRE Fundingは一周年記念キャンペーンを実施しますので、是非この機会に「FUELオンラインファンド」や「CRE Funding」で会員登録をしてみてはいかがでしょうか。今後もこうしたキャンペーンは今後も実施する予定だそうなので、今回間に合わなかった方も是非会員登録をご検討ください。