コロナ禍がソーシャルレンディングに与えた影響とは

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2020年初頭に端を発した世界的な新型コロナウイルスの流行。

2021年5月時点でもまだまだ世界的な流行は収束することはなく、各種の経済市況にも多大な影響を及ぼしています。

そのいわゆる”コロナ禍”が、日本のソーシャルレンディング市場に与えた影響はどの程度だったのか。状況を振り返ってみましょう。

コロナ禍が各経済市場に与えた影響

まずソーシャルレンディング以外の各経済市場に対し、コロナ禍はどのような影響を与えたでしょうか。

株式市場

日本の株式市場は、コロナ禍が始まった2020年の2月から3月にかけて、大きくその価格を下げました。日経平均はこの一か月で約1/3ほど価格を下げ、リーマンショックの再来かと騒がれたほどです。しかし、2020年夏ごろから徐々に値を戻し、2021年2月には日経平均はバブル崩壊後の最高値である、3万円を突破しました。

この背景には、アメリカのダウ平均が過去最高値を更新し続けていることがあると考えられます。

コロナ禍で暴落は発生したものの、その後の影響は大きくなく徐々に回復基調を見せています。

FX

外国為替金証拠取引、FX は各国の為替相場の変動を示しています。外国為替市場はコロナ禍の影響は大きくは受けていません。2008年のリーマンショック時にはドル円相場が円高により1ドル110円ほどから1ドル75円ほどまで短期で変化を見せましたが、コロナ禍では1ドルは100円~110円の間で推移しています。為替相場は安定しており、大きな影響はなかったと言えるでしょう。

J-REIT

不動産投資信託、 J-REITはコロナ禍で大きな影響を受けた市場の一つです。2020年2月から3月にかけ、J-REITの平均値を表す値はなんと約50%もの下落を見せました。株式市場以上に大きな暴落を見せています。

また、J-REITも徐々にネは戻しているものの、コロナ禍前の価格を更新するには至っていません。

 これまでJ-REITは安定していると言われていましたが、実際は株式市場以上に経済の影響を大きく受けたことが分かってきています。

コロナ禍でのソーシャルレンディング市場の動向

ではコロナ禍で日本のソーシャルレンディング市場はどのように変化したかを振り返ってみましょう。

目立った貸し倒れや返済遅延はない

コロナ禍において、各ソーシャルレンディングサイトによる大きな貸し倒れや返済遅延は発生しません。 日本には約15のソーシャルレンディングサイトがありますが、2020年内には貸し倒れや返済遅延が発生したというニュースはほぼ入ってきていないのです。

ただし、全く影響が起きていないわけではありません。2021年に入り、不動産案件を専門に取り扱うソーシャルレンディングサイトOwnersBookでは、大阪のホテル案件で運用期間の延長が行われたという報道が入ってきています。 

OwnersBookは不動産を売却して投資家に出資元本を返済する予定でしたが、その不動産を売却することができず運用期間の延長となっているのです。

ホテルを中心とした観光業はコロナ禍の影響が最も大きい業界です。ホテルの営業が大きく悪化したことで、ホテル不動産が売れなかったという結果は、容易に推測できます。

ソーシャルレンディング案件の中でも観光・レジャー関係の施設を扱う案件では、返済遅延や貸し倒れが今後発生する可能性はゼロではないでしょう。

募集金額にも大きな変化はなし

募集規模に関しても大きな変化はありません。 大手の SBI ソーシャルレンディング、クラウドバンクなどでは年間を通じて200億円以上の募集を行っており、堅調な推移を見せてきました。

その他にもクラウドクレジットやOwnersBook、LENDEXといった中堅のソーシャルレンディングサイトでも毎月5億円前後の募集を行っています。Fundsでは、2020年秋から一気に募集規模を拡大しており、それまでの1ヶ月1~2億円の募集から10億円前後になっています。ソーシャルレンディング市場はコロナ禍でも市場規模を拡大していたといえるでしょう。

2021年に入りSBIソーシャルレンディングで問題が発覚し、事業撤退

2020年内には、大きな変化はなかった日本のソーシャルレンディング市場ですが、2021年2月に入り SBI ソーシャルレンディングで大きな問題が発覚しました。

その問題とは融資先のモニタリングが行われていなかったことにより、資金の不正流用また事業の未遂行があったというものです。

 規模は約150億円友いわれており、融資作のテクノシステムが2021年5月時点で営業停止状態に陥っています。

 SBI ソーシャルレンディングはテクノシステムへの収支総額150億円を投資家に全額返済するために、150億円近区の損失を計上しています。その結果 SBI ソーシャルレンディングは事業の継続が難しくなり、2021年5月にはついに事業撤退を発表しました。

日本のソーシャルレンディングサイトでも第一位の募集実績を持っていた SBI ソーシャルレンディングが撤退したことは、S氏上に大きな衝撃を与えました。

問題が起きた理由は、コロナ禍でも案件募集を行うために SBI ソーシャルレンディングではひたすら多少の無理が当ても案件の組成を行っていたということです。その無理のある案件の組成を行った結果、不十分なモニタリングを引き起こしました。

一方で、この問題を調査した第三者委員会によれば、SBIソーシャルレンディング理由は株式上場を視野に入れており、売上を作るために無理に案件を組成し、問題のある融資先にも融資を続けていたとしています。

コロナ禍で考えるべきソーシャルレンディングのリスク対策

では、投資家がコロナ禍で考えるべきソーシャルレンディングのリスク対策はどのようなことでしょうか。

事業の実在をできるだけチェックする

可能であれば、案件で提示されている事業が本当に実在しているのかを、事前にチェックしておきたいものです。 SBIソーシャルレンディングの問題では、集めた資金が計画的に運用されておらず例えば建築予定だったマンションが建てられていなかった、太陽光発電施設が運用されていなかったということが明らかになっています。

投資家の知り得る情報では事業の実態をチェックすることに限界はありますが、それでも可能であれば提示されている事業や不動産が本当に実在するかなと見ておきたいものです。

融資先の情報が明らかになっている案件を選ぶ

次にチェックしておきたい点は、融資先の会社の情報が明らかになっている案件を選ぶことです。 融資先の会社の情報がわかれば、その会社の事業の実在、売上や利益の規模をチェックし、ちゃんとした会社なのかを判断することが可能になります。

資産保全性の高いサイトを選ぶ

また万が一貸し倒れのが発生した時の資産保全対策を、入念に行っている会社を選ぶようにしましょう。

 SBI ソーシャルレンディングでは、事業に問題が遭ったとして、SBIグループが投資家へ150億円の返済を行うため、投資家に損失はほぼ発生していません。

大手金融グループに所属する SBI ソーシャルレンディングだからこそ、これほどの投資家保護が行われたと考えられます。

Fundsのようにリコースローンで融資をすることで、融資を受けた会社が投資家への無限責任での返済義務があるもの、OwnersBookのように不動産物件の所在を明らかにし、換金価値は高い不動産を担保に設定しているもの、LENDEXのように二重査定を実施した上で、LTVを80%上限にしたものなど、それぞれのソーシャルレンディング会社が、独自の資産保全対策をとっています。

そういったソーシャルレンディング会社ごとの資産保全対策をしっかり調べた上で、投資するソーシャルレンディングサイトを選ぶようにしましょう。

まとめ

2020年に端を発したコロナ禍は、日本のソーシャルレンディング市場では、大きな影響を発生させていません。 SBI ソーシャルレンディングの問題はコロナ禍だけではなく、SBIソーシャルレンディングが準備をせず株式上場を狙ったからこと、発生した問題だとも捉えられます。

ただし新型コロナウイルスの流行ははいつ収まるのか、その全貌は見えておらずこれから先問題が発生する可能性がないわけではありません。

これからソーシャルレンディング投資するときは、資産保全対策をしっかり行なっているサイトを選んで投資をするようにしていきましょう。

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